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重層

  • ふく
  • 2024年11月17日
  • 読了時間: 2分

 この人は何重かにした明るさや軽薄気味で力感のない振る舞いなどによって、あけすけなように見せつつ要の本心や魂胆をどこかに隠している という、種ヶ島修二から感じるうっすらとした雰囲気の傍証となる特技「人狼ゲーム」、味わい深い。


 彼は元来軽やかな人物ではありつつも、時折そういう人格に「徹している」気配が漂うことがあって、ひとが知る必要のない自分の核を暴こうとする状況や言葉をそうして躱していくさまからはむしろ、その核のやわらかさや大きさ、そして本人のある種の繊細さや潔癖さが窺える気がして、その重層構造が美しくて面倒で、引き込まれる所以かもしれない。

 本人は誰にであれ触れてほしくなくて、自分だけが知っていればいいしむしろその部分だけは孤独でありたいと思っていそうだけれど、異次元から勝手に入れ込み見守るわたしとしては、そういう核を見破ったり言い当てたりするのでなく、ただ無意識に感じ取っていつの間にか隣に立ってくれているような人が彼の世界にいてほしい、と願ったりする。


 だから竜次とか白石とか、あまり鋭いタイプではないけど、目や頭ではなく心で人と付き合うような、どっしりと地に足ついていて平らかに真っ直ぐにものの価値を見ているような人が近くにいてくれる事実には、嬉しいようなほっとするような、不思議な心地になる。



 
 

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