てるてる

　この街はどうしてか霧雨が多い。今日も朝から音もなく雨が降っている。週末に限って天気が悪い。自転車の旅は未敢行である。

　もとより日当たりのそうよくない私の部屋も今朝はどんより薄暗い。薄暗い朝にしかない風情もあらんと、あまりうまくはいらなかった紅茶と手製のサンドイッチを電気を点けない部屋で食している。薄暗いから今朝できる影はぼんやりしていて、寝起きでぼんやりしている私と気分が合う。

　今日も明日も雲は晴れないらしい。今年実行中のカフェ巡り、まだ行けていないのの中に自宅からとても近い店がひとつあり、日常生活圏内すぎて訪問のタイミングを掴めずにいた。店までの道中に冒険はないはずだけど、雨の日に敢えてカフェへ行くという未知の要素を加えれば面白くなるかもしれない。晩まで雨らしい今日の遊びの候補とする。

　明日は薔薇がきれいなところへ足をのばすかもしれない。

　曇天の下の薔薇も小雨に濡れる薔薇もそれぞれ美しいだろうけど、雨降りの中徒歩での長距離移動を楽しめる心は今のところない。来週では薔薇の見ごろを過ぎる。

　てるてる坊主、てる坊主。明日天気にしておくれ、とまでは言わないので、泣き出さない程度に空の機嫌を取っとくれー。などと適当に祈りつつ朝食を片付け、薄暗い部屋で部屋干しされる運命の洋服たちを洗濯機へ放り込みに向かうのであった。