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あきらめ慣れている

  • ふく
  • 1月9日
  • 読了時間: 1分

更新日:2月3日

 種ヶ島さんの、抗ってもどうにもならない不条理とは取っ組み合わない賢さや、限られたものや条件をフル以上に活用する狡猾な逞しさは、どうやって育まれたのかなと考える。

 強く望みさえすれば大抵のことが叶う環境や自分自身と共に育ったこどもには、どれも手に入れるチャンスがないものである気がして。


 どうにもならないことの見極めや割り切りは諦めを伴う。種ヶ島さんがあっさりそういうことをやるたび、彼にはなにかあきらめ慣れているところがある気がしてもどかしくて惹かれる。自分にどうにかできる範囲を十二分に使って楽しんで欲しがる強さを分かってはいても。


 本来無一物という座右の銘は、執着を乗り越えたりあきらめたりするために自分に言い聞かせる言葉のようにも思えるし、彼はどういう葛藤と疲弊を経て今に至ったんだろう。

 飛行機に乗れないという事実は、明らかになっている情報の中で唯一明確な彼の「どうにもできないもの」ではあるけれど、その不条理だけが彼をあのように育てたのかどうか。


 あきらめ慣れた匂いのする男に、あきらめるしかないレベルの飛行機嫌いという側面があること、実はものすごく整合性ある設定なのかもしれない。

 
 

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