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わかんないよ

  • ふく
  • 6月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月5日

 高校生ファンブック、読み込めていないけど楽しかった。


 入江奏多とケンカできる種ヶ島修二って何者で、種ヶ島修二とケンカできる入江奏多って何者なんだ……。種ヶ島に気のある人間が妬いたり敵わないと悟ったりするとしたら大曲相棒より腐れ縁入江だろうこれ。りゅうじが理由で女に振られたことはなくてもかなたが理由で女に振られたことはありそう種ヶ島。お互い3%ぐらいずつガチめの嫌悪感持ってそうなのに関係途切れないどころじゃないのが厄介でおもろくてわらかんすぎる。いつもは掴めない人でいることに成功してる掴まれたくない人間同士がお互いにだけは掴み掴まれし合ってて、だから居心地悪いし居心地いいみたいな関係、わたしそんな複雑な間柄の人間いたことないからわかんないよ。

 私の書く小説に入江がほぼ出てこなかったのは、入江奏多という人間の造形と種ヶ島にとっての位置づけが掴めなすぎたからなんだけど、ファンブックでそれなりに情報が追加されてもやっぱりわかんなくて笑う……むしろ新たな謎が生まれ深まった……。ただおそらく種ヶ島修二との間にこういう関係を築けるの後にも先にも入江奏多だけだろうしその逆も同じだろうということだけなんかすごい分かってやっぱりこの子ら何者なんだというスパイラルに落ちていくしかない。 


 ご家族が祇園で料亭云々は、想像していたことにとても近くて不思議な気持ちになった。明確な情報がなくてもそういう想像をさせてしまうというのが不思議。

 THE NEXT DOORの十二月の章で種ヶ島さんの実家を舞台にしたことがあって、実際の道の名前とかを出しつつも具体的な所在地はぼかしたんだけど、実家は祇園の白川筋らへんと勝手な設定をして書いていた。二人がお詣りに行った、種ヶ島家から歩いて行ける「祇園にある大きな神社」は八坂神社。白川筋近辺からは徒歩十分ほど。章冒頭の場面で二人は四条通を中心部から祇園のある東方向へ歩いているから景色もそのとおり移り変わる。実際の白川筋は料亭が目立つ通りだから、当時は「こんなとこに住んでたわけないけどね」と思いつつ雰囲気だけ借りられればよしの気持ちで書いたけど、後から妙な整合性が生まれたな……。

 祇園にしようと思ったのは、「舞子坂」が二年坂や三年坂っぽい響きで京都市北東部の雰囲気を感じたのと、「舞妓」なので北東部の中でもおそらく祇園付近にある学校なんだろうと思えたから。あと、種ヶ島さんの世話の好さと人あしらいの上手さは普通に子供やってたら身に着かないし、一時お母さん元舞妓説があったので、日常の中に歓楽街や水商売がある環境で育ったに違いないと思ったからだった。

 結果元舞妓はおばあさまになりましたか。種ヶ島さん、ご両親はお店で忙しかったりしておばあちゃん子だったのかな。舞妓さんの張りと矜持が人生哲学として種ヶ島さんにわりとしっかり注入されてそうでどきどきしちゃうな……大河ドラマの女郎さんたちに種ヶ島みを感じるのはそういうことなの……ここでも奇妙な答え合わせが。。

 

 白石後輩が京都に遊びに来るので高校案内したろという種ヶ島先輩は私の中で太古の昔から姿の変わらぬ故郷の山的なものであったためか、ただ凪いだ気持ちで頷いた。いつもそこにある風景。


 楽しいファンブックを編んでくださった方々に感謝。のんびり、けれど隅々まで読み込もう。

 
 

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