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妙な種類の

  • ふく
  • 2024年11月5日
  • 読了時間: 2分

 「BeautifulDays」を再々版したので、「リプレイ」を中心にご感想をちらほらいただく。

 本作は、読者が真相には辿り着けない程度の小さな違和感を前半に散りばめ、後半のどんでん返しによってそれら全てに筋が通るという仕掛けをしたけれど、おおむね意図したとおりに違和感を覚えながらお読みくださった方がおられると嬉しいのと同時に、みなさまキャラクターへの理解と愛がすばらしいなぁ、という感動を覚える。


 例えば、種ヶ島が白石を、本来の彼なら最も選びそうにない「白石」という呼び名で呼ぶこと。

 雨上がりの公園の場面で、種ヶ島が白石も戸惑ってしまうくらいに感極まって泣いたこと。


 通常の種ヶ島修二の行動傾向やひととなりを読者が理解してくれていなければこのあたりは違和感としてはたらかないので、「この本を手に取る方は深いキャラクター理解をお持ちのはず(だからこれっぽっちの情報でもきっと違和感を持ってくれる)」というある種の読者への信頼によって可能になった仕掛け。


 なので違和感ありありで前半を読み進め、見事どんでん返しに引っかかって楽しんでいただけた旨のお言葉を頂戴すると、自分の傾けた信頼に最高の形で応えていただけたような、その方と共に大仕事を成し遂げたような、妙な種類の充実が湧いてくるのである。


 初版と再々版。


 
 

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